円形脱毛症治療に東洋医学が効く
現代医療では円形脱毛症は、主にストレスの影響とされ、ホルモンバランス、アレルギー疾患などが原因とされています。そんな円形脱毛症には鍼灸治療を始めとした東洋医学の治療方法が効果的な場合が多いです。どのように効果的なのか
- ストレスの影響が強い場合に、鍼灸治療により身体のストレス緩和作用を働かせる場合がある。
- 脱毛部分、脱毛の周辺や関連した部分の血行が悪く硬く緊張している場合があり、鍼灸治療の刺激によって血行が良くなり緊張が少ない状態が続くと発毛に結びつく場合がある。
- 東洋医学は身体全体のバランスを診る治療方法で、例えば足が冷えて頭部がのぼせるような身体の熱量のバランスが崩れている状態を改善すると身体のコンディションが良くなり、結果的に症状が良くなる場合がある。
円形脱毛症の治療には病院での治療もある程度の治療期間と治療頻度が必要ですが、鍼灸治療でも同様です。ただ、病院での治療で効果がないものでも鍼灸治療をキッカケに状態が改善することもあるので、円形脱毛症の治療の選択肢として鍼灸治療は有効です。
【女性患者 円形脱毛症回復までの6か月間】
円形脱毛症治療の選択肢のひとつとしての鍼灸治療
円形脱毛症に対する鍼灸治療はまだまだ研究が進んでいない分野です。2017年に日本皮膚科学会が円形脱毛症診療ガイドラインというものを作成しています。診療ガイドラインというのは、それぞれの病気に対して病院でどの様に診察をして治療方法を選ぶと良いかということをまとめたものです。その診療ガイドライン(画像1、画像2を参照)によると、円形脱毛症に対しての鍼灸治療は「推奨度C2 行わないほうがよい」とされています。なぜこのような評価かというと、効果がないという意味ではなく「研究が少ないので評価そのものができず治療効果が科学的に明確とはいえない。」ため推奨度が低くなっているからです。また鍼灸治療は基本的には病院ではなく鍼灸院で行われているため、病院では評価ができないためこのように理解されているともいえます。発毛や育毛に効果的とされ、薄毛や抜け毛の改善プログラムを提供する企業やヘッドスパなどを行う美容室などで行われる頭皮のマッサージなどはガイドラインの俎上にすら上がっていません。それは研究自体がそもそもないので評価のしようがないということなのです。
【画像1】日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン2017年版より引用
【画像2】日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン2017年版より引用
2022年現在、円形脱毛症の原因は、遺伝・加齢・ストレスの影響・ホルモンの影響・アレルギー性疾患の影響・自己免疫疾患の合併(橋本病などの甲状腺疾患、糖尿病、関節リウマチ、SLE、尋常性白斑、重症筋無力症)などが挙げられていますが、原因の特定には至っていません。このように多岐にわたる原因が考えられていて、影響が強いと思われるものによって治療方法が少し変わりますが、基本的には脱毛部位に対する薬物治療になるため、治療方法の選択肢は多くありません。
また、錠剤などの服薬するお薬は、脱毛部位だけに薬の効果を発揮することはできず、全身的に毛が濃くなる事が多々あり、脱毛症で鍼灸を選択する患者さんのなかにはこの薬の全身的な発毛点・育毛の効果を気にして鍼灸治療に来る方もいます。もちろんまずは皮膚科にかかっていただいて診断や標準的な円形脱毛症治療を受けていただくことをおすすめしますが、そのひとつの選択肢として鍼灸治療が効果的ですし、標準的な治療が無効な場合に鍼灸治療を試してもらうと劇的に改善することも少なくありません。
東洋医学や鍼灸治療の良さが円形脱毛症治療に生きる
東洋医学の病気の捉え方や鍼灸治療の身体への作用が円形脱毛症の治療にはとてもフィットします。お薬というのは基本的に身体に対してひとつの効果を目的にして作られます。二次的に、別な効果を発揮する場合もありますが基本的にはひとつの病気や症状に対して効果を発揮する場合がほとんどです。円形脱毛症の薬も発毛育毛を促すためのものですが、身体の状態というよりも頭髪の状態にフォーカスしているため、そこ以外の身体の影響や精神的なストレスが強い場合に薬が無効な場合も少なからずあります。 鍼灸治療は、身体への複雑な作用があるため、実際に脱毛症治療薬よりも発毛育毛の効果が高いわけではないのに毛が生えてくる場合があります。それは脱毛以外の身体の症状に対しても脱毛に関わる症状として治療していくことが出来るため薬剤とは違った効果が身体に加わるからです。脱毛部分以外の、その方の身体の状態を丸ごと診ることができる鍼灸治療・東洋医学の良さをぜひ体感して頂ければと思います。