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中国の武術と医学

はじめまして、

大阪で鍼灸院とカンフー道場を

運営している振藝といいます。

中国の医学と武術はとても関係が深く、

過去の偉人達人にも

医学と武術を併修していた方は沢山います。

.

現代においても、

伝統医学としての武術医学の発展は脈々と続いており、

体育大学の武術科を卒業してる人でも伝統医学を習得していれば「特殊技能」という国家資格を得て中医病院を開院する事ができるそうです。(2018年当時、滞在してた大学病院で聞きました)

武術で有名な河南省の嵩山少林寺では、

少林禅医という仏教の禅宗の流れをくむ

武術医学が残っており、

太極拳の発祥の地(諸説あり)とされている武当山にも、

道士が学ぶ道教医学というモノがあります。

少林寺

因みに

少林寺では、無所得無執着(外見や持ち物など執着を無くす)と言う思想があり、出家した者は頭髪を剃りますが

逆に、道教では、

無為自然(自然のままである)という考えを大切にしているので、

出家すると髪を切らなくなります

この様に、流派宗派によって様々な地域文化、思想の中で

医術も武術もその影響を受けて独自に発展しています。

武当山

現代では、

中医病院で肺炎の後遺症患者に、

太極拳を用いたリハビリを行い、

有効であったという様な医療臨床のレポートも

数多く発表されており、改めてその有効性が

注目されてきています。

武術医学は、単に太極拳や気功の動きを

行う様なものだけではなく、

武術文化の中で生まれてきた思想を用いて生み出された

治療薬、鍼灸や手技の療法も存在します。

福建省では、約900の病院の中で

「医療武術」を特徴的なコンセプトとしている

泉州市正骨医院という病院があり、

国家の臨床研修基地に指定されています。

ここでは、武術訓練のケアや怪我をした時に用いる

漢方処方を活用して、

多くの人のリウマチや整形外科疾患の治療で

効果を上げています。

中医学は、病を患うを学ぶことで、

それを癒し、養生する

“病まないことを悟る”学問であり

中国武術は、戦うことを学ぶことで

“争わず、己のコントロールを体得する”

技術です。

中国武術や中医学の世界で技量を積みさねた

実力を“カンフー(功夫)”と言いますが、

病まず、争わず、自らと周囲に調和をとって生きてゆく

工夫をすることこそ、

カンフー(※功夫)の本来の意味なのです。

武術と医学だけでなく、工夫(功夫)さえあれば

異なるモノも互いに繋がりを持って

発展していけるのかなと思います。

※)広東語で 工夫と功夫はどちらもgongfu

@pik

振藝
振藝
むくの木鍼灸整骨院 総院長 / 香港武術 禦拳教練(師範) / 大阪公立大学テコンドー部 監督 鍼灸師、国際中医師 学生時代より中国各地や香港で武術と中医学を学び、現在は鍼灸院を運営しながら、カンフーの指導や中医学の勉強会の運営を行う
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