東洋医学のスゴイところ
はじめまして。大阪の鍼灸師、足立です。
第一回となる記事は「東洋医学のスゴイところ」をテーマにしたいと思います。
よく「中国何千年も昔から伝わる医学」と自慢されることが多い東洋医学ですが、歴史が古いからスゴイのではありません。
「東洋医学のスゴイところ」といえば、私がパッと思いつくのは「バイオリズム」です。
東洋医学は驚くほど古くからバイオリズムに注目した医学だと言えます。
私が知る範囲でも以下5つのバイオリズムがあります。
・概年リズム(春夏秋冬のリズム)
・概日リズム(サーカディアン・リズム)
・概月リズム(月の周期)
他にも、熱病の治癒パターン(リズム)や経絡の活性リズムなどがあります。
東洋医学では、これらの周期・リズムを踏まえた上で診断・治療を行います。
今回はそろそろ“春が実感できる時期”ということで、春夏秋冬の概年周期から紹介しましょう。
わかりやすい季節と陰陽五行
東洋医学は陰陽五行思想に基づくものでもあります。下の図のように五行と四季が対応させていますので、非常にシンプルで理解しやすい利点があります。
春と夏は陽に属し、秋と冬は陰に属する。これは理解しやすいですね。
さらに五行でみると、春は木、夏は火、秋は金、冬は水、そして土用が土に当たります。
季節の性質を植物の一生になぞらえるとイメージしやすいです。
春は種から芽生えて伸びる季節です。
夏は栄えて花開く季節です。
秋は開いた花が実を結ぶ季節です。
冬はタネが地中の中で春を待ちます。
人の体でおこる春のバイオリズム
そしてこのことは人の体でも同様にあてはまります。
例えば春を例に挙げてみましょう。一般的にも”春は始まりの季節”といわれています。
東洋医学でも同じで春は人体のエネルギー(陽気)が発動する季節です。
体のエンジンがブルルンッ!とかかるのです。そのエンジン点火!と同時に体内に蓄積した老廃物も体外に追い出す時期でもあります。
中国の医学書(※1)では「春は発陳(はっちん)」と表現しています。
陳とは古いという意味で、陳(古い老廃物など)を発して追い出す体の働きを表わしています。新陳代謝のことばを思い浮かべると分かりやすいですね。
昔の人は「木の芽時(このめどき)には、できもの(皮膚症状)が出やすい」などと言っており、春と人体の関わりをよく観察していたようです。
これは春のはたらき「発陳」によって皮膚から老廃物を追い出す、その結果として皮膚症状として現われるという意味なのです。
現代で最もよく知られる春の発陳では「花粉症」が筆頭に挙げられます。
これまで体内に蓄積したワルイモノを鼻や目という竅(穴)から排除(排水)していると言えます。
“ため込んだワルイモノ”とは、東洋医学では「湿痰」「湿熱」または「水毒」などと呼んでいます。
“ドロドロ水”のようなものと言えばイメージしやすいでしょう。
このドロドロ水の蓄積量が多ければ多いほど、花粉症・アレルギー症状がひどくなります。これらの症状は日常生活やお仕事に支障をきたすものですから、ついついお薬で花粉症状を抑えたくなるものです。
しかし体にとって不要で悪いモノだから体も一生懸命に排出しているのですが、それにフタをするのが「症状を止める」という考え方です。体内に蓄積する大量の水毒・ドロドロ水を花粉症のシーズンが来る前にいかに減らしておくか…という計画的に体質を作っていく必要があります。そのためには普段からの養生や治療が大切となってくるのです。
以上のような「木の芽どきの皮膚症状」や「花粉症」など以外にも春の症状パターンはまだあります。また、他の季節(夏・秋・冬)にみられる人の体の動きはまたの機会に紹介しましょう。
足立鍼灸治療院 足立繁久
※1『素問』四気調神大論