“東洋医学のバイオリズム”の記事の第3回です。今回は「一日(24時間)のバイオリズム」について紹介しましょう。
西洋医学でも24時間をベースにしたバイオリズムはよく知られています。サーカディアンリズム(概日周期)という名で知られ、その発見は1729年にフランスの科学者によるとされています。
さて東洋医学ではどのような周期・バイオリズムを言っているのでしょう?
上のイラストのように朝・昼が陽の時間帯であり、夕・夜が陰の時間帯です。これはイメージしやすいですね。
朝に陽が芽生え、昼に陽がピークとなります。夕方には陰が生まれ始め、真夜中に陰がピークになります。そして次の朝には陰が衰え陽の時間帯に入るのです。(※)
これを陰陽消長を言います。
四文字熟語になると難しくみえますが「陰と陽が互いに生まれ長じ、そして減衰し、また生まれる…を繰り返すこと」をいいます。ひと言でいうと「リズム」ですね。
私たちは一日・24時間をひとつの区切りとして生きているわけです。
朝になったら起きて、昼には活動し、夕方には活動を止め、夜には睡眠をとり、次の朝に備えます。
この一日における陰陽リズムが崩れることもまた心身の不調を招きます。
例えば、夜間勤務を日常的に行っている方の健康管理の必要性
また、国際線に勤務されるパイロットさん・客室乗務員さんの慢性的な時差の影響などはよく知られています。
24時間は地球のリズム
なぜ夜に睡眠を摂らないことがそれほどに健康に影響を及ぼすのでしょうか。
若くて体力のある人にとって夜更かしなんてむしろ大好物です。週末は徹夜で遊ぶ・飲み明かすなどはむしろ良いストレス発散にもなります。しかし仕事となると話は別です。日常的に中期~長期にわたって昼夜逆転を続けると、身体のリズムは大いに乱れます。
そもそも24時間とは地球の自転周期です。
私たちが地球に住む以上、その周期に逆らって生きることは難しいことなのです。…なんて言うとオーバーに聞こえるでしょうか。でも患者さんにこのように説明すると深くうなづいてくれることが多いです。
夜更かしや徹夜というと大したことのないような印象を受けますが、「地球の周期に逆らう」なんて表現することでその深刻さが理解できるかと思います。
理想と現実は違う
理想論でいうと「陰陽のリズムに従ってより良く生活しましょう」なのですが、現実においてはそうはいきません。
人生には何かと無理を承知でがんばらないといけない場面、いわゆる正念場というものが多々あるものです。受験勉強やお仕事などはその最たるもの。
朝まで勉強・仕事はもちろん、徹夜の連続なども日常ではよくあることです。このような踏ん張りどころを避けて生きていくこともまた難しいものです。
だからといって実生活で気力体力を削り、はては生命力まで削るほど無理を重ねてがんばるのか?というとそれも現実的ではありません。
正念場のあとは、そのダメージを癒すケアが大事です。
治療を受ける患者さんの意識も変わる
このケアで大切となるのは「どのような無理を重ねたのか?」です。
肉体疲労なのか?精神的な疲労なのか?
それとも陰陽のリズムにそむくレベルの疲労を重ねたのか?
この違いを明確に意識すると、ケアの受け方や選び方も変わることでしょう。
例えば、問診の際でも、医師や鍼灸師に伝えるべき情報の優先順位も分かるかと思います。
また「癒し」が必要なのか?深いレベルの「治癒」が必要なのか?も分かります。
このような違いを意識すると、疲労の質や程度で治療院・サロンを選ぶときの目安にもなると思います。
次回は五行からみた一日(24時間)のバイオリズムを紹介します。
足立鍼灸治療院 足立繁久
※『霊枢』営衛生会篇など