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先生(教師、治療者)としての心構え

【原文】

苗而不秀者有矣夫、秀而不實者有矣夫。

【書き下し文】

苗にして秀(ひい)でざる者あり、

秀でて実らざる者あり。

【現代語訳】

苗のまま芽を出さない者もあり、

芽を出しても実らない者もある。

【私見】

本言は「子罕第九篇」です。

「苗のままで芽を出さない生徒(患者)」とは、なかなか勉強(治癒)の成果をあげられない者のこと。

「芽を出しても実らない生徒(患者)」とは、勉強はできる(心体はよくなっている)のだけれど、学んだことをいかせない(現存在*を世界でいかせない)者のこと。


皆さんはどのように感じられますか?

この言は単に「出来の悪い生徒(患者)がいる」ということを嘆いているわけではないはずです。

「先生」と呼ばれる方には多くの生徒(患者)がいらっしゃることと思います。そしてその生徒(患者)たちは様々な苗であり芽であることでしょう。

「先生」と呼ばれる方々は、その苗や芽がいつか芽吹き実ることを信じ、太陽となり雨となり親身になって「傍らにあり続けること」に喜びを見いだせる人が「先生(先に生まれる)」と呼ばれるに相応しい(君子)のではないでしょうか。

教師として、治療者として、かく在りたいものですね。


*現存在とは、実在哲学では人間の存在のあり方そのものを意味する語

山川義人(やまさん)
山川義人(やまさん)https://lit.link/wellbeingyama3
首都医校非常勤講師、moxafrica、(株)ケアクル 鍼灸師、鍼灸教員資格 1976年生まれ、埼玉県さいたま市出身。 東北大学文学部で哲学(西洋哲学、ドイツ観念論)を専攻した後、NTT東日本に入社。遠隔医療システム構築や動画配信事業、法人事業企画に従事。 上司や友人知人を自殺で失い、メンタルヘルスで悩む人の多い社会を憂い、脱サラ後、鍼灸免許/鍼灸教員免許を取得。 現在は専門学校で教鞭をとる傍ら、moxafricaでの活動や日本人鍼灸師の海外チャレンジのサポートを通じて、日本鍼灸および日本人鍼灸師の海外輸出支援を主に活動。 趣味はサーフィン。 将来の夢は、育成した後進を日本中・世界中に輩出し、教え子の様子を見るという言い訳のもとに日本中・世界中を旅すること。
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