【原文】
巧言令色、鮮矣仁。
【書き下し文】
巧言令色、鮮(すく)なし仁。
【現代語訳】
人に気に入られるように口先でうまいことだけを言い中身が伴わない人には、
「仁」の心がないものです。
【私見】
本言は「学而第九篇」に記載されています。
「こうすれば必ず〇〇できます!」など、巷には耳に心地よい言葉が溢れています。
一方で自分自身が同じように「みんなが△△している…」「大勢の人が××って言ってます」など、似たような言葉を使ってしまっていることはないでしょうか…?
このようなコミュニケーションで、本当に相手に信用してもらえるのでしょうか…
では、相手に信用されるためにはどのようにすればいいのでしょう。
信頼を得るために大切なことは、言葉を飾ることではなく、思いやりを言葉に込めることではないでしょうか。
孔子の理想とした「仁」という道徳については、『論語』の中でさまざまな角度から説かれています。この句は、その仁を体得した人の人間像を具体的に示しているものといえるのではないでしょうか。