陰陽論とは
東洋医学には大元となる考え方がいくつかあるのですが、その中でも根幹をなすのが【陰陽論】です。
陰陽論とは世界のあらゆるものは陰と陽の対立する要素がセットで成り立つとする考え方で、例えば「昼と夜」「男と女」といったような具合です。
鍼灸治療においては体の陰と陽のバランスを整えることで健康な状態に近づくと考えます。
しかしこの考え方は治療だけでなく、日常において物事の捉え方に余白を作りおだやかな暮らしをおくるのに役立ってくれます。
物事を両側面から考える
たとえばバスを待っていて、予定の時間を過ぎてもバスが到着しないとします。
そのときに頭の中でどのような言葉がよぎるでしょうか?
「うわぁ、バス遅れてるじゃん。予定通りにいかないなあ。」
この場合はバスが遅れたことにより時間が奪われたと捉えており、これを陰的な考え方と呼ぶことにしましょう。
ではこれを陽的に捉えるとしたらどうなるでしょうか?
「バス遅れてるなあ。だったら来るまで本を読む時間にしよう。」
こうすれば今度は逆に本を読むという時間が生まれたと捉えており、陽的な考え方であるといえます。
バスが遅れているという1つの出来事の中に、時間を奪う/生むという対立する2つの要素がセットになっていると考えられるのです。
これはどちらの考え方がいいとか悪いとかではなく「バスが遅れる」という1つの出来事に対して両側面から捉えることで選択肢が生まれ、どちらを選択することもできるということ自体が心に余白を生んでくれます。
なにか思考に行き詰まった時や、暮らしが窮屈に感じる時、いつも自然と思うことの反対側にはどんな側面があるかな?と少し立ち止まってみてください。
そこにはバランスをとるためのもう1つの側面が見つかるはずです。
自然の原理の中から生まれた医学であるからこそ、生活のヒントとなる考え方がつまっているのが東洋医学。
ぜひ皆様の暮らしのヒントになりましたら幸いです。